ジェンダー

リボンの騎士から考えるジェンダー論

日本初の「少女漫画」

日本で初めての「少女漫画」と言われる手塚治虫の「リボンの騎士」を読んでみた。図書館をうろうろしていたら手塚治虫コーナーがあり、そういえばちゃんと読んだことがなかったかもしれないと思い手に取ってみた。

『リボンの騎士』(リボンのきし)とは、手塚治虫による少女漫画作品。および、それを原作とする作品群のことを指す。手塚の20代の頃の連載漫画代表作の一つであり、少女向けストーリー漫画の先駆け的な作品

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アラスジ

「男の心」と「女の心」の両方を持つ、体は(おそらく)女性のサファイア。シルバーランドという国の王様とお后様の子供として生まれたサファイア。男に生まれれば王位継承権第一位となるが、女に生まれれば王位継承権は与えられずサファイアの夫となる人がシルバーランドの王となるという運命だった。

この世界では生まれる前に神様から各々「男の心」か「女の心」を与えられて生まれてくるが、いたずら好きの天使であるチンクのいたずらにより、サファイアは「男の心」と「女の心」の両方を持った状態で生まれる。さらにその誕生を世間に知らせる役目の家臣の活舌が悪く、世間には「王子が生まれた」と知らしめられ、サファイアは表向きは王子として、人の目がない場所では女として息抜きをしながら成長した。サファイアの父である王の崩御により、王位継承権を狙う人物の策略や、女として出会い惹かれてしまった他国の王子との恋など、さまざまな運命が降りかかるサファイアの物語が「リボンの騎士」。

感想

「男の心」と「女の心」はどちらを持っているかで性格が「男性らしく」なったり「女性らしく」なったりする。「男の心」が失われると戦う事ができなくなり、「女の心」が失われると他国の王子への恋心を忘れて自国の統治に関して強い決断とう行動を起こすという展開がある。また「女の心」を持っている事によって、やさしさや思いやりにあふれていると認識できるような描写がある。

突拍子もない設定ながらも、ドラマチックかつファンタジーな展開で作品としては面白かった。

「男性らしさ」と「女性らしさ」について、わかりやすく明示されている。この作品が描かれた当時の一般的な認識だったのだろうと思う。このような表現によって性別による役割・望ましい姿のバイアスが世間に浸透するのに一役買ったという側面もあると思う。

一方で「女だという理由だけで王様になれないなんてナンセンス」というエピソードや、女性が参政権を得るなど女性の社会進出に対してポジティブなエピソードもある。ジェンダーバイアスのような考え方は執筆当時にはなかったであろうことを考えると画期的な展開が盛り込まれていたと思う。