ミュージカル

松竹ブロードウェイシネマ『キンキーブーツ』

キンキーブーツってどんな作品?

という情報を欲してこの記事にたどり着いた人へ。松竹ブロードウェイシネマの公式ページをご覧くださいませ。作品への情熱も愛情を土台として知りたい情報が詰まっている。これ以上の情報を知りたいなら作品そのものを見るしかない。

以降は私自身のキンキーブーツに対する思いと感想を書き綴る。

大好きなミュージカル『キンキーブーツ』

Kinky Bootsはとても好きなミュージカルである。

以前、約半年という短い期間であるがロンドンに住んでたことがある。その際、現地に友達も少ないうえに住んでいた部屋にはテレビがなく、インターネット回線も引くことができないという環境だった。住みはじめて3か月間はその後どのくらいロンドンに住むことになるのかもわからない状態だったため、SIMフリースマホにプリペイドのSIMを挿入して使っていた。通信料が気になって動画の視聴などは最低限に抑えていた。

そんな状況なので週末になると、なんならアフターファイブも隙あらばミュージカルや劇を見に行っていた。公式でディスカウントチケットを売っているTKTSで見たいミュージカルのチケットが安く販売されていないかをしょっちゅう確認していた。ブログを書くにあたって回数を数えたら約半年で26公演見に行っていた。オタク気質なので、気に入った作品は複数回見にいっていた。ADELPHI THEATREで上映されていた『キンキーブーツ』も1度見てとても楽しく、パワーをもらえたので合計2回見た。なんなら1回目を見た約2週間後に見に行っていた。1度目の鑑賞の際はUnder StudyのArun Blair-MangatがLola役を演じており、十分感動したものの、Olivier Award受賞者であるMatt Henryバージョンが見たくて早々に2回目を見にいった。今思うと驚くべき情熱だ。それだけ暇を持て余していたという事でもある。Arun Blair-MangatとMatt Henryで味の違いはあったものの、どちらも大変な実力でとても楽しめたと当時の感想として書き残してあった。

2回目の鑑賞の際にシアターでCDを購入して何度も聞いた。キンキーブーツはそのくらいお気に入りのミュージカル作品である。

2016年 ロンドン ADELPHI THEATREのセット

松竹ブロードウェイシネマ『キンキーブーツ』

機会があればまた見たいと思っている大好きなミュージカル「キンキーブーツ」。DVDやBlu-rayでの販売はされていないので好きなときに見るという事はできないでいたが、2018年にイギリス、ウエストエンドのアデルフィシアターにて上演された本作品を2021年3月、松竹ブロードウェイシネマ『キンキーブーツ』として上映されると知り、大変うれしかった。シンディ・ローパーのファンだがキンキーブーツは観たことがないと言っていた友人を誘い、シネ・リーブル池袋にて鑑賞してきた。

アンサンブルの揃ったプライス&サンのテーマから始まり、工場の営みを見せながら、幼いチャーリーとローラ(サイモン)の父親とのエピソードを織り込みそして青年となったチャーリーとその恋人ニコラの会話。楽しめない瞬間はゼロ。飽きる暇なく次々と進んでいく物語。終始すべての人が魅力的で生き生きとしていて、何よりも本当に全員歌がうまい、アンサンブルも魅力的。

今回初めて日本語字幕つきで作品を鑑賞する事ができたので、いままで曖昧にしか理解できていなかったシーンも内容を理解する事ができていままで以上に感情移入ができたのもとても良い経験だった。

松竹ブロードウェイシネマさん、この作品を見る機会を設けてくれて誠にありがとうございました!と本心から思う。

少しだけネタバレ込みの感想

Hold Me in Your Heart, Raise You Up,そしてJust Beの3曲は泣きながら見ていた。自らのトラウマというか父親との確執を認めて歌ってそして許して別れを告げたローラに涙。ミラノのショーでピンチに陥っているチャーリーの元に駆けつけて、「あなたのためじゃない、歓声を浴びるためよ。ローラのキンキーブーツの!」と現れて、Raise You Upと歌うローラとエンジェルス。チャーリーのためじゃないって言ってたのに。

Just Beで歌われる6つのステップがとても好きでパワーをもらえる。とくに物語のはじめは偏見ガチガチだったドンがローラとの交流を通じて6番目の言葉を言う所までマインドチェンジしているのが最高。

  1. Pursue the truth.(真実を追求する)
  2. Learn something new.(新しい事を学ぶ)
  3. Accept yourself, and you’ll accept others too.(自分を受け入れる、そうすればほかの人も受け入れる事ができる)
  4. Let love shine.(愛を輝かせる)
  5. Let pride be your guide.(プライドをガイドにする)
  6. You change the world when you change your mind.(心を変えれば世界が変わる)

最後に

日本版のローラを演じていらっしゃった三浦春馬さんが2020年に急逝されて大変驚き、悲しんだのも記憶に新しい。機会があれば見たいと思いつつ、私は日本版をみる機会は得る事はできずにおり、正直なところ日本人が演じるローラが魅力的かどうかに対して懐疑的であった。Youtubeにて公開された”Kinky Boots Haruma Miura Tribute movie“を見て、自分が抱いていた疑念が見ていないが故の疑念に過ぎない事を思い知った。とても、とても魅力的でエネルギーにあふれた素晴らしいローラだった。ご冥福をお祈りいたします。